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在留資格の「更新」とは?
在留資格は、自動的に更新できるものではありません。
入管法では「在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるときは、在留期間の更新をすることができる。」となっています。
現在もっている在留資格の身分または活動を、引き続き安定的・継続的に行っていることに疑問をもたれるような場合、また活動内容に変更がある場合、申請者側が積極的に「このような状況にあるけれど、このように条件を満たしているから引き続き同じ在留資格での滞在を認めてください」と入国管理局に証明していく必要があることを意味しています。
「更新」申請と「変更」申請
つぎに、「更新」と「変更」の基本を確認しましょう。
- 更新(在留期間更新許可申請):現在の在留資格の活動内容が変わらず、期間だけを延ばす申請です。 (在留期限の3か月前から)
- 変更(在留資格変更許可申請):現在の在留資格とは別の活動を行う場合に、あらたな活動にそった在留資格へ変更する申請です。(在留資格の変更が確定したとき)
そのため、「在留資格の根拠となる活動や身分」が変更になっていると、たとえ更新申請であっても、変更申請と同様に入念な審査が行われることになります。
「実質変更扱い」になるケース
配偶者ビザ:夫婦関係に変化があるとき
別のパートナーと結婚して配偶者ビザを更新する場合。「日本人の配偶者」という身分は変わらないので、引き続き「日本人の配偶者等」の在留資格になりますが、結婚相手が変われば生活の基盤が変わりますので、最初に日本人の配偶者ビザを申請したときと同じような書類(結婚の経緯などの説明)が必要になります。
※永住者を結婚していた永住者の配偶者、定住者と結婚していた定住者ビザの人が、最初の結婚相手と離婚し、同じビザの別の人と再婚した場合も同様です。
技術・人文知識・国際業務ビザ、技能ビザ:転職している場合
技人国ビザの場合、業務内容が同じであれば、そのまま新しい会社で働くことができます。
(転職後14日以内に所属機関変更届(しょぞくきかんへんこうとどけ)は必須です。)
とはいえ、技術人文知識国際業務ビザというのは、各所属機関における業務内容を判断して付与される在留資格であるため、転職先の業務内容が、技術人文知識国際業務に該当すると入国管理局に認められたわけではありません。
現在の在留期限が残り少ない場合は、転職にあわせて在留資格更新申請を行い、そこで転職先の会社の業務内容が専門知識を要する技術人文知識国際業務に該当するものであり、申請人がその要件を満たしていることを証明していくことになります。
就労資格証明書交付申請
一方、転職時点で残りの在留期限が3か月以上残っている場合は、更新申請ができませんので、「就労資格証明書交付申請」をするのがよいとされています。
就労資格証明書とは、その者が行うことができる収入を伴う活動を、入国管理庁長官が証明する文書です。
就労資格証明書交付申請は義務ではありませんが、転職先の業務内容が「技術人文知識国際業務」に該当するのか微妙な場合は、就労資格証明書交付申請を行うのがよいでしょう。
就労資格証明書交付申請をすることのメリット
〇次の更新申請がスムーズになる(単純な更新申請となる。)
〇就労資格証明書にて問題が指摘された場合は、その会社での業務内容の見直し等をしてもらうことで不法就労(資格外活動)を防ぐことができる
更新があぶないケース
配偶者ビザ:同居していない
入国管理局は、夫婦であれば基本的には同居しているものと考えます。そのため、何らかの事情があって同居していない場合は、申請者がその理由を丁寧に説明し、証拠となるような資料を提出して「入管に納得してもらう」ことが必要です。面倒くさいからと、実際は別居しているのに同居していると申請を出すことはやめましょう。ただしい住所を届出ないことは、在留資格の取り消し事由にもなるからです。
家族滞在ビザ:扶養されていない
家族滞在ビザは、別の就労系ビザまたは身分系ビザで在留している家族に、扶養されている者として与えられるビザです。
本人に就職が決まったり週28時間以上を超えて働いているのに、家族滞在ビザのままでいると「家族滞在ビザ」に当てはまらないとみられて、更新ができなくなります。
高度専門職、特定技能、特定活動46号は要注意!
これらのビザは、簡単に言うと、会社にひもづけられたビザです。
指定された会社で働く、という条件で許可されているビザです。
(パスポートに「指定書(していしょ)」が添付されています。)
そのため、転職をする場合は新たな会社で在留資格をとりなおす必要があります。
新しいビザをもらわずに転職先で働いた場合は、不法就労となってしまいますので注意が必要です。
高度専門職ビザ
転職先でも同じようにポイントが取得できる場合でも、勤務先が変更となる場合は、「高度専門職」から「高度専門職」への「変更申請」が必要になり、就労開始は新しいビザを取得してからになります。これをしないで働いてしまうと、不法就労になります。
特定技能ビザ
こちらも勤務先が指定されていますので、例えば「外食」から「外食」への転職だとしても、「特定技能」から「特定技能」への「在留資格変更申請」が必要です。新しい会社で最初からビザを取りなおす必要がある、と考えてください。新しいビザがでるまでは、転職先で働きはじめることはできません。
特定活動46号ビザ
条件を満たしていれば、(日本国内の短大、大学、一部の専門学校を卒業し、かつN1を取得している者)が日本語コミュニケーション能力を活かしつつ、単純作業を行うことができる、というビザです。
対象となる専門学校
https://www.mext.go.jp/content/250321-mxt_syogai01-000034601_001.pdf
こちらも会社とひもづけされているため、転職の際には変更申請が必要になります。
更新申請(実質変更扱い)になると、どうなる?
- 変更申請のときと同様の書類提出が必要になる
- 審査に時間がかかる
- 不許可のリスクも増える
単純な更新のつもりで軽く考えて申請すると、あぶないです。しっかり準備しましょう。
どう備えるか?
- 別居などの事実があるなら、理由書で丁寧に説明する
- 説明だけではなく、入管が納得できる客観的資料をつける
- 在留資格によっては、最初から変更申請を検討する
まとめ:油断せず、なにか変化があれば慎重に!
在留資格の更新は「何も変わっていない」ことが前提です。
転職、別居など、活動内容に“変化”がある場合は、しっかりとした準備が必要です。
別の在留資格への変更が必要な場合もあります。
わからないときは、お気軽に相談してください。