その人、あと何年働けますか?──見落としがちな“経歴と在留期間”の話

特定技能1号は、「5年」で区切られる制度

特定技能1号は、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が、日本の人手不足分野で働くための在留資格です。
この在留資格には、制度上の大きな特徴があります。それが、在留期間の上限が「通算5年」と決められていることです。

転職が可能なこの制度では、すでに特定技能として他社で活動をしていた人を雇いいれることが可能です。
日本語能力だけではなく、現場での経験があれば、企業にとっては即戦力になるため、非常に心強い存在です。
一方で、「特定技能での雇用」に慣れていない企業が、採用時に見落としがちなポイントもあります。ここではその点を整理していきます。

「これまでの特定技能としての積み上げ」

ここで、ひとつ大切な点があります。
それはその外国人が“特定技能として、どれだけの期間と評価を積み上げてきたか”という部分です。

特定技能1号には、通算5年という上限があります。
そのため、

  • すでに他社で特定技能として何年働いてきたのか(特定技能移行準備のための特定活動や一時帰国の期間も含む)

  • 今の雇用で、残りの期間がどれくらいあるのか

この点を把握していないと、後になって「思っていたより早く区切りが来る」という状況が起きてしまいます。

さらに、特定技能2号への移行を目指す場合には、
試験の結果だけではなく、“単なる作業員としての経験にとどまらず、他の作業員を指導したり、工程を管理経験したりした実績”が重要な意味を持つようになります。

これまでは。試験に合格できなければ、そこで終わり

これまでの制度設計では、流れは比較的シンプルでした。

特定技能1号として働く→ 特定技能2号評価試験などに合格する→ 特定技能2号に変更する

このルートに乗れなければ、通算5年の上限を迎えた時点で、特定技能1号としての在留は一区切りとなります。

雇用主の立場から見ると、
「育てても、必ず長く働いてもらえるとは限らない」
という前提のもとで、雇用設計をする必要がありました。

新たな動き。試験で8割とれていれば延長できる?

ここに、最近、新しい制度的な取り扱いが加わりました。

特定技能2号評価試験などに不合格となった場合でも、
一定の評価水準にあると認められるときは、特定技能1号として在留を継続できる(1年間延長できる)仕組みが設けられました。

✔ 要件①:評価試験等の得点条件

  • 「特定技能2号」への移行に必要な全ての評価試験について、合格基準点の8割以上の得点を取得していること(不合格でも該当)
    → つまり単に「不合格」という評価だけでなく、“あと一歩の水準にある”ことが確認されることが大きな鍵になります。

※これは受験した試験全体についての条件であり、複数の試験がある分野では全ての試験で8割以上の得点が必要です。

✔ 要件②:本人の誓約

制度上、申請人(外国人本人)が次の内容について誓約していることも必要です:

  • 合格基準点の8割以上を取得した評価試験について、引き続き受験等に精励すること

  • 合格した場合には速やかに特定技能2号への変更申請を行うこと

  • 合格できなかった場合には速やかに帰国すること

この誓約は、雇用主の意思とは別に本人の意思と今後の行動計画の確認として、制度上求められています。

✔ 要件③:所属機関(雇用主)の体制

さらに制度上は、所属機関が以下に該当することも要件になります:

  • 当該1号外国人を引き続き雇用する意思があること

  • 特定技能2号評価試験等の 合格に向けた指導・研修・支援等の体制を有していること

※ここでいう支援体制とは、単なる現場配置だけでなく、次の段階の評価試験に向けた理解・計画について説明できることなどが含まれます。

上記の要件を満たすことで、これまで最大5年だった「特定技能1号」において、1年間の延長が可能となりました。

採用の段階で見ておきたい3つの視点

特定技能人材を採用するとき、次の3つを意識するだけでも、雇用の見通しは大きく変わります。

1.特定技能として、どれくらい積み上げてきたか

通算5年のうち、すでに何年を使っているのか。(特定活動や一時帰国の期間も含む)これは、今後の選択肢の幅に直結します。

2.次の段階を目指せる位置にいるか

本人の技能、現場の業務内容が、2号評価試験を見据えた水準になっているか。

3.区切りが来るとしたら、いつ頃か

1年後なのか、3年後なのか。
それによって、育成や配置の考え方も変わってきます。

これらは、採用後ではなく、採用前の段階で整理しておくことで、初めて“雇用計画”として機能する情報になります。

まとめ~特定技能は「ルート」で雇う

特定技能1号は、
「今、働けるかどうか」だけで判断する制度ではありません。

どこまで積み上げてきて、
どこを目指せる位置にいて、
どこで区切りが来る可能性があるのか。

新しい制度の動きは、
その“途中”を見える形にしたものだと言えます。

どこまで制度を理解しているかで、雇用の質は変わってきます。

特定技能を「人材」としてだけでなく、「ルート」として捉えること。
それが、これからの雇用設計のひとつの基準になっていくのかもしれません。

ビザ・在留資格等に関するお問い合わせ
  • 初回相談は無料です、お気軽にお問い合わせください。
  • 事前予約にて土日祝の相談にも対応いたします。
お電話でのお問い合わせ

「ホームページを見た」とお伝えください。

受付時間:平日10:00-18:00(土日祝予約制)
メールでのお問い合わせ

    このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

    ページトップへ戻る